今月のあなたの街の材木屋さん

第58回:大和木材株式会社(大阪市港区磯路3丁目)

こんにちは!三平です。

今回は大阪市港区磯路3丁目18番26号の大和木材株式会社さんを訪問しました。応対して下さったのは社長の大和宏充さんと会長の大和秀樹さんです。
三平の好きな会社の歴史からスタートする関係上、まずは会長の大和秀樹さんからお話をうかがいました。会長といっても昭和18年生まれ、まだまだ元気ハツラツです。

会社の外観
↑ 会社の外観
創業者は大和三郎さん、会長の父上、社長の祖父に当たります。大和家は徳島出身、代々山持ちの林業家。徳島の阿波池田で林業経営と製材業を営んでいたそうです。そして終戦後の昭和25年に大和三郎さんは大阪に出て木材業を開業しました。「今でも関西木材市場の買方番号は5番です」と大和会長。関西木材市場の買方番号5番は非常に若い番号で、そのお店の古さと伝統を証明しています。得意先は地場の工務店さん、典型的な仲買さんとしてスタートしました。

(※ 関西木材市場=名古屋以西で唯一内外の優良原木丸太を扱う市場。昭和28年に大正区小林町で設立され昭和40年に住之江区平林に移転。)

大和秀樹会長は関西学院大学を卒業後直ちに家業に就き、45歳で社長、62歳でご子息の宏充さんに社長を譲りました。

大和社長
↑ 大和社長

現社長の大和宏充さんは昭和48年生まれ。東京の玉川大学経営工学部を卒業後パナソニック電工(旧松下電工)に入社、5年間勤務され、平成13年に家業に就かれました。大学時代はライフセービング部(水泳部の中に存在)に所属されていました。ライフセービング部というのは読んで字の如く人命救助の一種です。水泳部なら記録を競うスポーツですが、ライフセービングを選択された動機が気になりました。「幼少から通ったスイミングスクールのお陰で、泳ぎには自信がありました。泳ぐことで少しでも人助けに繋がるようなことがしたかったから。常に訓練してましたよ」と大和社長。

事務所内
↑ 事務所内

パナソニック電工での5年間について伺いました。「通常は2年間の修業だが、2年では役に立たんと言われ5年にしてもらった」と父上の大和会長が話を切り出し、宏充社長が「最初はしんどかった。ルートセールスで街の材木屋さん等を代理店と同行セールスにまわった。電工の売上ノルマは絶対、スミマセンでは済まない世界だった。人間関係の難しさを痛感した。でも3年目辺りから冷静に周囲を見るようになり、「未来の材木屋としてあるべき姿」と思うこともしばしば。商売はやはり人との関係だと少しずつ分かりだした。4年目からは売上も堅調に推移しだした」と一つひとつ思い出しながら話して下さいました。


倉庫内
↑ 倉庫内

平成13年、27歳で家業に戻り、31歳で社長就任。「31歳とは若かったですね」と質問したら「急に言われたので少し戸惑った」との返事。その件について会長にたずねました。「私は古いタイプの材木屋で営業がきらいだった。これからは今までと違って営業せなあかん時代になった。それに若いときから責任感を与えることが大事やと思った。社長を譲った時は収益も上がってたし財務内容も改善していたからなあ。でも一番の要因は営業やと思う。材木屋は単なる下請けになっていたから」。

社長の最初の2年間は、じっと自分の会社=当時の得意先や社員の性格等々=を見つめていたという。大仲協の顧問でもある経営コンサルタントの小笠原先生とは以前から懇意にされ、事ある毎に相談していたそうです。専務に就任した時に半年かけて小笠原先生の指導のもとで「経営計画書」を作成されました。小笠原先生の力で従来の税理士も断腸の思いで解雇されたそうです。そして自分の進むべき方向を確立しました。大和木材の憲法とでも言うのでしょうか「1.地域に根ざす活動で」「2.工務店さんと一緒に取組み」「3.お客さんと一緒に感動!!」、この憲法が同社の経営理念になりました。

きれいに清掃・整頓されています
↑ きれいに清掃・整頓されています

大の得意先だった建売屋さんを「住宅を単なる商品と考えている。違和感を感じる」として取引しなくなったケースもあったそうです。さらに「自分が嫌なことは社員にもさせたくない。得意先は徹底して自分で回る」を実践されています。どれもこれも、自分で練りに練った経営理念に沿っています。地域に認められる大和木材。ここにあって良かったと思って頂きたい。そのためにも迷惑ばかりかけてきた近隣に向けて周囲の清掃をするようになったそうです。倉庫内の整理整頓はもちろん道路掃除の実行、不法・迷惑駐車は一切ご法度。大和社長は自動車用品カーアクセサリー販売の(株)「イエローハット」の創業者で掃除の神様・鍵山秀三郎氏に心酔、その言葉「凡事徹底」を実践されています。

もちろん社員教育も怠りません。毎年一泊で合宿研修を行っています。今年は3月7日、8日、テーマは「5年後、優良な工務店に選ばれる材木屋になるためには」。社員が一丸となってベクトルを太くして同じ方向に進み出しているのです。

面談中
↑ 面談中

「地域に根ざす」の理念の達成に向け、一昨年から年2回、イベントを開催しています。大和木材の仕事を近隣の方々に知って頂きたい。地域の方々からの相談窓口として門戸を開放する。新築・リフォームの相談も次第に増えつつあります。その地域からの相談や注文に対応すべく地場の工務店3社と「木楽家工房」を結成して万全を期しています。「どんな話がきても大丈夫、人脈だけは豊富です」と胸を張る大和社長。

今回の取材をおこなった部屋について述べます。この部屋は昨年秋のイベントに併せて完成したもので、内装は無垢の木材、塗料も自然塗料。快適な空間に仕上がっています。「この部屋はイベント時に開放しているが、希望があればいつでも近隣住民に開放します。このあたりはマンションが多く本当の木に触れる場所も機会も少ない。この部屋を見て触れて五感で感じ取って欲しい」と本物の木の良さをアピール。

今、大不況だと言われるが自分は全く気にならない。毎日が楽しい。一度決めたらその路線は貫く。メーカー・問屋とのタイアップもその一つだ。全国の材木屋さんにも同じ志を持つ同士がたくさんいる。小笠原先生との繋がりもある。最終的には人との繋がりだと思う。継続は力だと信じている。

そばでじっと聞いていた大和会長の心中を察するに「息子は良く頑張っている」の一言に尽きるのでは、と三平は感じました。

大和社長の癒しは「家族(妻と娘二人)との時間」だそうです。長時間ありがとうございました。

大和木材株式会社

〒552-0003
大阪市港区磯路3−18−26
TEL 06-6571-0278
FAX 06-6576-1578


→会社の詳しい情報はこちら      →お問い合わせはこちら