今月のあなたの街の材木屋さん

第56回:株式会社山本商店(神戸市東灘区御影中町)

こんにちは!三平です。

今回の訪問先は神戸市東灘区御影中町4-3-1の且R本商店さんです。 夕方のアポだったので写真を先に写そうとしていたところ、山本社長に見つかりインタビュー前に倉庫と工場の見学からスタートしました。

本社屋(左)と倉庫・工場(右)
↑ 本社屋(左)と倉庫・工場(右)
山本商店さんは国道2号線と弓場線が交差する一等地にあり、大きく「屋久杉」と書かれた看板がかかっているのですぐに分かります。電車では阪神御影駅から徒歩5,6分、真向かいには超高層マンションが建設中です。倉庫兼工場内には多種多様な木材が陳列されています。そのときお客さんが入ってきました。「チーク材でプレート類を作って欲しい」というお客さんです。店先には「小売承ります」の表示があり、実物サンプルや写真付きのパンフレットと価格表が吊り下げられています。もちろん、お客さんの要望に応じた加工も行います。「先代の時代から集めた、ありとあらゆる木材が倉庫にある。しかも乾燥しきっている。」と山本社長。すでに同店は「あなたの街の材木屋さん」そのものです。

山本商店さんは神戸市東灘区にある神戸の材木屋さんなのに、大阪木材仲買協同組合(大仲協)に所属されていることに疑問が生じ質問しました。「昔、この辺は武庫郡御影町といって神戸市ではなかった。芦屋も武庫郡精道村だった。だから御影から芦屋・西宮にかけての材木屋さんで大仲協に入っているお店は多いよ。」と教えてくださいました。

昔の広告です
↑ 昔の広告です

山本商店さんの創業は明治36年(1903年)、日露戦争の1年前のことです。創業者は現社長の曽祖父に当たる山本米吉さん。『材木商・材米(ざいよね)こと山本米吉』と記された当時の広告が今でも残っています。山本家のご先祖は代々西宮戎前で本陣を張っていたほどの豪商で、神成屋茂兵衛(かみなりや・もへい)の末裔だと伺いました。

創業当時の物流は海上輸送か馬力でしたから御影西ノ町大浜という船着場の横で開業されたのです。得意先は酒どころの神戸らしい灘五郷の酒屋さん。酒屋さんと聞けば酒樽用材を連想しますが、それだけではありません。その当時から酒屋さんには旦那衆が多く、借家をたくさん持っていたそうです。その借家用に一般建築材を納材していたというのです。

山本社長
↑ 山本社長

大正14年(1925年)に山本藤太郎さんが二代目を継承、太平洋戦争が終った5年後の昭和25年(1950年)に復員された山本豊さん(現社長の父上)が三代目社長に就任され同時に法人改組されました。その山本豊さんは昭和55年、椛蜊纐リ材相互市場社長就任を契機に社長職を実弟の山本隆三さん(四代目)に譲られました。平成11年山本豊さん逝去、同12年長男の山本和宏さんが五代目社長に就任、現在に至っています。

写真付きカタログ
↑ 写真付きカタログ

山本和宏さんは昭和27年10月21日、創業の地である御影西ノ町大浜で誕生。幼稚園から大学まですべて甲南 、「もちろん最後は甲南斎場です」と笑いながら話して下さいました。
「大学時代から家業に従事していた。だから卒業後、すぐに店に入った。大仲協と大青協が共催で行ったセミナーが有難かった。そのお陰で昭和49年に宅建に合格、昭和50年には宅建業の免許も取得した。昭和52年の建築士研修で2級建築士の資格をとり、建設業の許可も取得した。あれもこれも大仲協・大青協のおかげです。」

小売コーナー
↑ 小売コーナー

もちろん山本商店さんは大工・工務店さんに木材建材を販売する典型的な仲買さんです。が、昭和40年代の後半から始まった列島改造ブームに乗って「建売・分譲」にも着手されました。「すべて自前でやったが、昭和の終わりごろには手を引いた。土地の高騰で手が出なかったのが原因だがバブル期には一切何もしなかった。それが返って幸いした。その当時変や、と思ったことはやっぱり変やった」と山本社長。ところが平成7年に阪神大震災に遭遇、地域の為にも住宅が必要だと思って建売を再開したそうです。
山本社長は阪神大震災までの充電期間のあと一念発起、早朝出社を実践され、今もなお継続されています。「古い大工さんは朝が早い。暗い時からやってくる。長い間老舗として地域で大事にされてきたからね。」と山本社長。

工場内部
↑ 工場内部

地域のためを思う山本社長は平成15年、同店内に「ウッドワーク・ホーム」を立ち上げました。理念は「木材、住宅資材の販売のみならず、地域に密着した『住いの管理人』として、リフォームから増改築、マンション・アパートの管理まで、住宅・不動産のすべてを業務とする。」半径500メーターいや1キロ以内の地域住民の「住いよろず相談所」です。新興業者ではない老舗の材木屋さんが本腰をいれたら地域のみなさんは超安心でしょうね。

最後に同社の今後と木材業の将来を語っていただきました。
流通形態に胡坐をかいていた時代は終った。木材の運び屋の時代は去った。得意先である大工・工務店の仕事を奪うのではなく、得意先の工務店に仕事をまわすシステムを構築する。共存共栄する。地元の自治会からも声がかかってきた。当社は100余年の歴史があり時代とともに得意先も変わってきた。今が第2創業期だと考えている。材木屋を続ける。製材機もはずそうと考えたが悩み抜いて思いとどまった。息子も帰ってきた。
店頭に表示して地域の人にアピールするというアイデアはご子息、山本龍平さん(昭和55年生まれ)が考案されたそうです。

信条は「良いことは繁栄」。以前、結婚式の祝辞で聞いた言葉だが大好きな言葉だ。そのこころは「誠実」かな。「商売は牛のよだれ、目先の利益を追わない!山本商店を未来永劫続けて行きたい。」
一般の方に向けて「住いや木に関することばかりか、防犯、税金等々どんな事でも相談してください。」と山本社長はアピール。

山本社長、夕方遅くまでありがとうございました。

株式会社山本商店

〒658-0054
兵庫県神戸市東灘区御影中町4-3-1
TEL 078-841-0079
FAX 078-822-0900


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