今月のあなたの街の材木屋さん

第49回:西孝材木店(大阪市東住吉区今川)

こんにちは!三平です。

今月の「あなたの街の材木屋さん」は大阪市東住吉区今川の西孝材木店(にしこう・ざいもくてん)さんです。お店は東住吉郵便局に近く今里筋を一筋西に入った閑静な住宅街にあります。応対して下さったのは社長の西庫一(にし・こういち)さんです。

玄関
↑ 玄関
まずは西孝さんのルーツから。お話を伺って三平は驚きました、第30回のこのコーナーで紹介した西区境川の「小瀬木材さん」とは親戚にあたるそうです。創業は大正3年、もちろん西区の境川周辺です。西社長さんが「境川木材業70年史(昭和47年発刊)」を取り出しました。この本は三平も持っているのですが、随所に西孝さんの名前が登場します。「川のあるところに材木屋あり」と本コーナーで何度も繰返しましたが、明治から大正にかけて大阪では長堀川南岸と境川が材木商の移転先だったのです。今では埋め立てられて当時の面影はありません。時代とともに長堀川と境川周辺にあった材木屋が再び各地に移転しました。三平が知る現在活躍中の材木屋さんの中にも境川出身のお店がたくさんあります。

西社長
↑ 西社長

創業者は西孝治さん、現社長の祖父に当ります。和歌山新宮出身。当地と大阪浪速区幸町で木材の修業を積み、独立開業されました。しかし夭逝されたため祖母が女店主として辣腕を奮ったそうです。「亡夫の厚司(あつし・昔の商人がよく纏っていた着物)を布に変えて活躍していたというエピソードが残っていますよ」と庫一さん。二代目が父上の西壱郎さん。お話を伺っていると至るところに材木屋さんの親戚が出てきます。まるで材木屋一族です。

現在の庫一社長は三代目、昭和13年11月生まれです。大阪の西商業高校出身で「父も娘も西商、親子三代です」と笑いながら話して下さいました。西商卒業後北村商店で数年修業されました。この北村商店も西商閥だったそうです。昭和36年ごろに家業に戻られました。「創業者からの言い伝えで個人商店を通している。材木屋とデンボは大きくなったら潰れるから」―三平はこの言葉を幾度となく耳にしました。含蓄のある言葉ですね。それほど材木屋の経営は難しいということなのでしょう。

端材プレゼント用
↑ 端材プレゼント用

現在は大工・工務店さんに一般建築材を販売する典型的な仲買さんです。西社長はかつて宅建免許も取得され、建築分野に進出したかったそうですが家訓の「大きくなったら潰れる」を頑なに守ったそうです。 8年前姪御さんが工務店の経営者と結婚されました。「そのご縁で建築の仕事を紹介したり、逆に建築材料を請けている。身内やから安心。相手も信用してくれる。かつて貸し倒れで痛い目に何度も遭った。派手で分不相応な生活をしていたところは必ず倒産した」。

日本の気候風土に合った内地材が一番適している。木は神様からの授かりもの。倉庫内の木材は常に掃除して大切に扱っている。町行く人に木材の端材を無料提供している。製材も同様です。どうしても支払いたいと言う人には「神様へのお布施として小額受けとりますがそのお金は必ず寄進している」−西社長は信心深い方なのです。1998年に発刊された大阪木材仲買協同組合の50周年記念誌に「祖父の代より営んできた当店の歴史と伝統を守り、神から与えられた職業(木材商)を肉体が滅する迄、全人類のお役に立つ様に営業を続けるつもりです。商売とは人の心の美しさを出すわざ」と記されています。

小割りの機械
↑ 小割りの機械

西孝さんの特徴を伺いました。「小回りが利くこと。多品種少量在庫、材木屋のコンビニと思ってください」。なるほど、倉庫内にはいろんな種類の在庫がありました。

ご子息二人は府庁勤務。土木と建築を担当されてます。「二人が家業を継いでくれたらいい家が出来るだろうね」と笑いながらも「創業100年までは絶対に頑張る。それ以降はまた考えます」と。とにかくじっとしているのが大嫌いな西社長は金剛登山の会に入っておられます。信心することとお神酒を戴くのが趣味、町内のお世話も熱心です。

長時間ありがとうございました。

西孝材木店

〒546-0003
大阪市東住吉区今川7-10-18
TEL 06-6702-9844
FAX 06-6702-9847


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