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第30回 :小瀬木材株式会社(大阪市西区境川)
こんにちは!三平です。
今回の訪問先は大阪市西区境川1丁目の小瀬木材さんです。取材に応じて頂いたのは社長の小瀬洌さん(こせ・きよし)です。材木屋さんと川は切っても切れない間柄、少し川と橋について調べてみました。
江戸時代、大阪は「水の都」「八百八橋」と呼ばれていたのは有名な話ですが、実際は江戸の約350橋に対して約200橋ほどしか架けられていなかったそうです。では、なぜ大阪が「八百八橋」と呼ばれたのか。その答えは、誰が橋を架けたのかにあるというのです。江戸の橋の約半分は公儀(幕府)が架けたのに対して大阪の公儀橋は「天神橋」などわずかに12橋、残りは全て町人が商売や生活のために架けた「町橋」だったのです。自腹を切って橋を架けた大阪町人の心意気、取り戻したいものですね。伊勢戸佐一郎氏の著作の中に、高度成長により戦後埋め立てられた大阪西区の13川・108橋の思い出話を綴ったものがあります。興味のある方はご一読ください。
↑ 材木屋さんがたくさんあります
かつて境川には、安治川と尻無川を結ぶ「境川運河」が流れていました。明治35年4月に大阪運河会社が開削した全長約1800メートル、幅36メートルの運河で、完成後には材木商が進出してたいそう賑わったそうです。その「境川運河」も昭和41年に埋め立てられました。今でも境川界隈にはたくさんの材木屋さんが商売を営んでいます。その中の1社がこれから紹介する小瀬木材さんです。
↑ 本社
小瀬木材さん誕生のきっかけは、戦前、現社長の父上・小瀬武夫さんの実姉の嫁ぎ先が当地で丸太の商いを行っていた縁で木材業に従事したのがそもそもの始まりだそうです。武夫さんは、戦争で焼け野原になった境川に戻り、昭和26年に小瀬商店を当地で創業しました。その後、平成2年12月に小瀬木材株式会社として法人改組しました。
↑ 小瀬社長
現社長の小瀬洌さんは昭和14年12月、大阪市西区九条で生まれました。中学1年までは父親の出身地疎開先の奈良県吉野川上村で育ち、昭和28年に大阪へ戻りました。
大学卒業後、どこかに就職されたのですか?の質問には、「親父の頑張りを見ていたし、三男坊やけど学生時代から店の手伝いもしていたので自然と跡取りになってしまいました」と答えてくださいました。
↑ 隣にも倉庫があります
ひんぱんに電話がかかってきます。その都度丁寧な応対、社長の人柄が窺えます。小瀬木材さんは大工・工務店を得意先とする典型的な仲買さんです。プレカット全盛時代を迎え、苦しい経営を強いられている仲買さんが多い中、小瀬木材さんは元気いっぱいです。その秘訣を伺いました。
グリーン材(乾燥していない木材のこと)の市場性がなくなってきた。うちはそのグリーン材を自社倉庫内で天然乾燥している。1枚1枚桟積みして時間をかけて乾燥し、それを仕分けして適材適所に振り向けている。欠陥品が出ないように自社の加工機で手直し、それを工務店に供給している。得意先には「値も高いですよ」と言って販売しているがクレームが無い分喜ばれている。クレームが一番怖い。材料が悪かったから工期や手間に影響が出た、と言われるのがいやだ。建材などの定価商品には高い・安いはあるが、木材の高い・安いの価値判断はお客さんが決めること。これしか生き残る道はない。「仕入れた材を自社で手を加えて自社商品(小瀬木材ブランド)として販売する」−こだわる会社なのです。
↑ 倉庫内
毎週日曜日朝6時15分からNHKテレビで放送中の「食べ物新世紀」、この番組を必ずみている小瀬さんは農業に従事する人々が「こしひかり」や「鳴門金時」等の普及に向けてこだわり、研究する姿に感動しているそうです。「農業がこれだけやっているのに、林業・木材業は遅れているのでは・・」と苦言を呈されました。
↑ 倉庫内 その2
現在の日本の住宅についてはの質問には・・和室が減った。その和室も洋間と一緒、壁はクロス張り、畳はあっても琉球畳、淋しい限りや。大手ハウスメーカーの家は、販売しているのはサラリーマン、施工するのが下請け、だから彼らには現場での経験が少ない。そんな経験を必要としない工法が主流だそうだが、やっぱり家は経験豊かな材木屋や地場の工務店の方が頼りになると思う。特にリフォームは地場の材木屋や工務店に限る。
↑ 得意先が引き取りに来ました
一般の方もよく来られます。明日も港区の公団住宅の住人に植木の台用の木を配達します。1枚でも2枚でも販売します。新築・リフォームは信頼できる工務店を紹介しています。紹介するだけではなく、ひんぱんに立会い、なにかあれば責任もとりますよ、と小瀬社長。
最後に業界での苦労話や楽しい思い出について聞きました。昔はフォークリフトがなく、一人で一台の車に木材を積み込んだが今となってはそれも楽しい思い出です。仲買組合活動では当時みんな若かったし人数も多く、福利厚生事業でスキーツアーバス3台、水泳ツアーバス8台なんて時代やった、楽しかったなあ。その時、組合幹部の政田さんには大変お世話になりました。その当時福利厚生委員会に所属していたメンバー有志で「木念会(ぼくねんかい)」を結成し、今でも月1回会合を開いて旧交を温めています。
3年前に長男の小瀬拓也さんも入社されました、前途洋々ですね。「こだわりの会社」の繁栄を祈念して、ペンを置きます。小瀬社長さん、長時間ありがとうございました。
小瀬木材株式会社
〒550-0024
大阪市西区境川1-3-25
TEL 06-6583-1621
FAX 06-6583-1623
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