今月のあなたの街の材木屋さん

第25回 :櫻井工業株式会社製材所(岸和田市)

こんにちは!三平です。


櫻井工業株式会社製材所 社屋
↑ 櫻井工業株式会社製材所 社屋

今回お邪魔したのは岸和田市港緑町6番1号の櫻井工業叶サ材所さん、応対してくださったのは社長の谷口正雄さんです。大阪から堺方面臨海線を南に下り、岸和田の木材団地を過ぎて「岸和田カンカン・ベイサイドモール」の手前海側に櫻井工業叶サ材所さんの大きな工場の看板が見えます。同社はかつてその広大なショッピングモール「岸和田カンカン」の地にありましたが、岸和田旧港再開発で現在の場所に移ったそうです。
 不思議な社名ですね。変なところに株式会社が入っています。普通は頭か末尾に付くものです。その辺の事情はのちほどとして、岸和田と言えば、そうです「だんじり」です。谷口社長さんとの取材中、言葉の端々に「だんじりが」とか「だんじりの時」とかが頻繁に出てきます。岸和田市ではなく「だんじり市」に市名変更した方が良いのでは、と思ってしまいました。岸和田の人にとっての「だんじり」は生活そのもの、人生そのものなのでしょうね。

谷口社長
↑ 谷口社長。
櫻井工業鰍ウんは寛永15年に和泉国南郡沼村字餌差町で創業しました。調べてみると寛永年間とは1624年〜1644年まで、寛永15年は1638年で今から368年前になります。もちろん当時には株式会社は存在しません、宮大工「櫻井組」だったそうです。昭和22年に法人改組した櫻井工業(株)の現社長は15代目櫻井新嗣氏、14代目棟梁櫻井新一氏の長男に当ります。では一体谷口正雄さんはどうなるのでしょうか?実は代表取締役が2名いるのです。登記上の櫻井工業鰍ヘ360年以上昔に先祖の宮大工が設立した会社ですから建築業が主体です。その櫻井工業という工務店が時代の流れとともに木材の販売を行い、製材業にも進出して現在に至っているのです。
 櫻井工業(株)は建築業主体。工務店はその昔木材業の仲買さんの集まりである大阪木材仲買協同組合に加入はできなかったそうです。「多分昭和20年代頃の話でしょうね。今は建築業を手掛ける仲買さんはたくさんいますが・・・」と谷口さん。だから製材部門を社名の末尾に入れて櫻井工業(株)製材所として仲買組合に加入したそうです。本来なら同社の製材部といったところでしょう、なんとなく当時隆盛を極めていた木材業界の諸事情が理解できました。その木材・製材部門の責任者が谷口正雄社長さんです。

仲買さんらしい在庫です。
↑ 仲買さんらしい在庫です。
同社は工務店としての実績も豊富です。元々宮大工出身だから当然でしょうが、寺社仏閣や注文住宅はもちろん岸和田警察署(昭和54年着工、工事費3億9700万円)などの公共工事や土木工事もたくさん手掛けられました。
 しかし、谷口さんはごく普通の材木屋の社長さんです。大工・工務店さん向けに一般建築材や住宅設備機器類を扱っています。しかし、ここはなんと言っても岸和田です。会社訪問してすぐに気付きました、工場や土場にケヤキがやけに目立つということに。ケヤキと言えばだんじりに使う木材です。硬くて強いケヤキがだんじりには最適なのです。ケヤキは高級な銘木です。神社仏閣や門扉、棚板などいろんなところに使われます。工場内で地松を製材しているところも見学しました。だんじりの横棒に使用するとのこと。とにかく、だんじり、だんじり、なのです。だんじりの為に存在する製材所といっても過言ではありません。

製材中です。
↑ 製材中です。
製材所には大きく分けて二種類あります。一つは自家製材所、もう一つは賃挽製材所。自家製材とは自分の商売のために自分で製材・加工する工場のことです。大きな製材工場はほとんどこれに当ります。一定の商品を大量に早く製材して販売するのです。が賃挽製材は少し異なります。お金をもらってお客様の要望に応じて丸太や盤の製材をする工場です。製材加工賃を立米当りの単価で設定する場合と、時間当たりで設定するケースがあります。櫻井工業鰍ウんは賃挽製材工場です。

地松の丸太
↑ 地松の丸太
谷口正雄さんは昭和21年9月生まれ。幼稚園から高校まで岸和田、就職も卒業してすぐに岸和田の櫻井工業梶B「だんじりと岸和田しか知らない、井の中の蛙ですわ」と谷口さんは笑う。今までの人生60年で2回だけだんじりを曳かなかった年がある、と谷口さん。お祭りは縁起もんやから喪中の時は遠慮しました、淋しかったですわと。今でも現役でだんじりを曳いているそうです。趣味は「ボーイスカウトの世話やボランティア活動だが、やっぱりだんじり。私の人生そのものです」と。

ケヤキの丸太。だんじり用です。
↑ ケヤキの丸太。だんじり用です。
お邪魔したのが8月初旬、9月中旬にだんじり祭りが催されます。谷口さんはすでに気分は「だんじりモード」。「祭りが終わってもすぐに来年の打ち合わせ会が頻繁に開かれ、酒と会話が徐々に増え周囲のムードが高まって絶好調に達した時に又だんじりが始まる」と話す谷口さん。三平のような大阪市内で生まれ育った人間には実感できませんが、羨ましいかぎりです。

「地元に貢献するのが街の材木屋だと思う」を持論とする谷口社長は以前、「家のホームドクター〜棚板一枚からだんじりまで販売します〜」と書いたチラシを近所にまいたことがあるそうです。「一般の人に木や家についてのアドバイスもします。販売もします。なんでも遠慮なく」と谷口社長は皆様の来店を期待しています。


谷口社長さん、ありがとうございました。だんじりが楽しみですね。
三平は一度も見たことがありません、一度誘ってください。


櫻井工業株式会社製材所

〒596-0014
大阪府岸和田市港緑町6−1

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0724-22-6470

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