今月のあなたの街の材木屋さん

第14回 :谷口材木店(大阪府堺市)

こんにちは三平です。
今年の桜は遅かったですね。大阪では去年より10日ほど遅れました。大阪木材仲買協同組合が毎月発行している機関紙「仲買たより」の寄稿者樹木医塩ア俊氏によれば、ソメイヨシノが「昔からの日本の桜」と思い込んでいる人が案外多いらしい。ソメイヨシノは江戸駒込染井村で誕生してまだ百数十年、昔から日本人に親しまれたのはヤマザクラだそうです。桜の開花が気になる日本人ってやはりいい民族ですね。無粋な私は「花より団子」ですが。


事務所は中央環状に沿ってます。
↑ 事務所は中央環状に沿ってます。

今回の取材先は谷口材木店さんです。堺市六条通4番17号のお店は中央環状線に沿ったとても分りやすいところにあります。外から眺めて「ああ、材木屋さんだあ!」―そんな昔懐かしい感じのする材木屋さんです。


真幸さんと兄嫁さん(栄さん)
↑ 真幸さんと兄嫁さん(栄さん)

まず出迎えて店内を案内してくださったのは谷口真幸(たにぐち まゆき)さん、店主(谷口圭司=たにぐち けいし)の弟さんです。そして、こちらの質問の答えに詰まると真幸さんは「栄さーん」と声をかけて店の奥に助けを求めます。その栄(さかえ)さんというのは兄嫁さんのお名前。「宝塚出身です」と言われても「ああ、なるほど」と納得してしまいそう、背が高くて明るくて誠に品のよい奥さまなのです。お二人とも明るくて声が大きくて「感じの良いお店だな」というが私の第一印象でした。


谷口社長。若い頃は小林旭そっくりでした。今も面影があります。
↑ 谷口社長。若い頃は小林旭そっくりでした。今も面影があります。

そうこうする内に店主の谷口圭司さん(昭和17年生まれ)が配達から戻ってこられました。若い頃は「堺の小林旭」と呼ばれたそうですが今でも間違いなく小林旭似です。
谷口材木店さんは3年前に亡くなったお父上が昭和14年〜15年ごろ当地で創業しました。そのころこのあたりは貯木池だったそうです。商売の形態は大工・工務店さんに木材類を販売している典型的な「屋形屋(やかたや)さん」です。プリント合板、建材類、プレカットなども扱い「大工・工務店さんの需要の変化と時代の流れに沿って対応してきました」と話す谷口店主は「最近システム・キッチン(SK)やシステム・バス(SB)の注文が増え、金額的にもウェートが高くなってきました。1軒の家でもお風呂なら80万円くらいはするのに木材関連ならたったの5万〜6万円程度ですわ」と木材の退潮を嘆いています。
谷口材木店の皆さんは実際の年齢より10歳は若く見られるそうです。それに声が大きくて内緒話が出来ない環境で「孫まで声がでかい」のが特徴だそうです。


事務所と倉庫の間にある加工場です。
↑ 事務所と倉庫の間にある加工場です。

事務所に隣接する加工場(最近増改築)の設備(カット・ソーやプレーナー等)は、現場での作業スペースに困った大工・工務店さんに「気軽に加工できる場」として提供しているそうです。


扉は木製です。
↑ 扉は木製です。

しかし、最近、ご近所の木工店や喫茶店(Sakura―yo)が内装やディスプレイを「自分たちの手で作ってみたい。材料も自分で探して自分で選びたい。できたら加工設備も使わせて欲しい」との申し入れがあり、「いいですよ、ご自由にお使いください」と開放したそうです。

倉庫の内部
↑ 倉庫の内部

野地板(のじいた)(屋根の下地材)や足場板など専門家なら絶対内装材には使わない木材でも素人さんは「これ面白い。この節きれいね」と感じて使ったそうです。「毎晩11時ごろまで若い人たちが加工場で頑張っている姿を見ると応援したくなるし感動します」ー同店の皆さんの感想です。

近所の喫茶店(sakura−yo)
↑ 近所の喫茶店(sakura−yo)

真幸さんより同店の最近の仕事から次のようなお話を伺いましたー『病院の床の仕事をやったときは自然の素材(ムクの杉)で仕上げました。西宮で納材している家も「木を見せる家」がキャッチフレーズ、吉野杉をふんだんに使いました。塗料も自然塗料でした。健康志向、安心・安全には木材が一番ですね。ムク材やから割れや節が気になるという批判もあったけど、節なんかの欠点も素人さんの目から見れば美しいのです。プロは先入観で“あかん”と決め付けてしまいそうやけど凝り固まったらあかん。素人の声を聞かんと』。谷口兄弟の頭は柔らかいですね。


喫茶(sakura−yo)内装の加工は谷口さんでやりました。もちろん自分たちで。
↑喫茶(sakura−yo)内装の加工は谷口さんでやりました。もちろん自分たちで。

売上では毎日苦労しています。販売先(大工・工務店さんが中心)は年配者が多く、跡継ぎがいないとこも多い。信用不安が伴うので新規開拓も難しい。「工務店の営業も地縁血縁だけではもう限界にきていますよ。でも、材木屋やからSBやSKで儲けるのではなく、あくまでも本来の木材を扱って商売を続けてゆきたい」と木へのこだわりがとても強い谷口材木店さんです。


小売は大歓迎です、気軽にお越しください。お値段も相談にのりますよ。ご近所の方もよく住宅相談に来られます。とにかく一般ユーザーの声を聞きたいーそれが本音です、と谷口店主。
 
谷口圭司・真幸ご兄弟、それに栄奥さん、ご協力有難うございました。


谷口材木店

〒590-0043
堺市六条通4-17
TEL 072-232-3832
FAX 072-232-6524


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