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北西側夜景
昼とはまた違った表情で住人の帰りを迎える。
光による装飾。 |
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設計のポイント
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施主の要望から私たちが導き出したコンセプトは、「一戸建て付き庭」。壁で囲まれた2階をプライベートな「ウチのウチ」、ガラスの皮膜に包まれた1階をセミ・パブリックな「ウチのソト」、周辺の景色を「ソトのソト」と意味づけ、室内が屋外空間へと段階的に広がり、最終的には外部環境を家の中へ取り込むことを考えた。屋外へと広がっていくシークエンスを遮ることのないように、室内もできる限り建具は設けず、空間どうしを柔らかく繋げていくことを心がけている。したがってキッチンやダイニング、リビング、そして個室というはっきりした区分けはなく、空間から空間へと自由に行き来できることがこの家の特徴のひとつとなった。また構造的になくすことのできなかった壁などは半透明の素材で覆い、光や人の気配を感じられるようにするなど、限られた空間を実際よりも広く感じさせる工夫を施している。さらに1階の大きなサッシを開放させると、力強く立ち上がる柱だけがそこに現れ、「ソトとウチ」がダイレクトに繋がる。例えば多くの客人を招いたホーム・パーティでは、室内・屋外といった境界を意識せず、それぞれが好みの場所を行き来して楽しむ。この家にはそんな場面がよく似合う。かつてわが国の人々は、紙と木でできた家に住み、今よりももっとうまく自然を取り込んだ生活を送っていた。ところが近年、住宅の高断熱化・高気密化が進んだ結果、家が完全に「ソト」から隔絶され、自己完結したつまらない存在になり下がっているように感じられてならない。この家では、私たちが無くしてしまった「ソト」の世界との関係性や、それを基にした喜びや楽しみを日常に取り戻すということをうまく表現できたのではないかと考えている。 |
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