幕末から、この場所には大きな母屋・離れ・茶室や土蔵そして今回の蔵があり、近年、賃貸住宅として使われていました。取壊して新築アパートが建つことになったのですが、「蔵だけでも残したい」という事で活用法が探られ、蔵を四等分した二つ分が賃貸住宅になりました。「古いものを残すのは記憶を残すこと」と言われていますが、今回はまさに古い建物をうまく活用することを重視しました。完成見学には近所の方、改装前の賃貸にお住まいだった方が沢山お見えになり、「懐かしい」と涙ぐむ方、「どんな風になるのか毎日見てたんよ」と喜ばれる方と様々な反響を頂きました。沢山の方が長年この町の一部であったこの建物に本当に強い思い入れを持っていることに改めて気付かされました。二百年この町を見守ってきたこの蔵が、皆に見守られながら生まれ変わり、次の百年もまた街を見守ることになるのでしょう。施主様をはじめ地域の方々に受け入れられたことがなにより嬉しく思います。
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