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第95回:杉田木材株式会社(大阪市西淀川区中島2-12-94)(2012.5.18更新)
こんにちは!あなたの街の材木屋さんの桔平です。
今回は、大阪府西部、すぐお隣が兵庫県尼崎市の西淀川区にやってきました。
組合所在地の大阪市西区から国道43号線を10分ほど走り、側道を抜けて「中島」という交差点を左に曲がると、徐々に住宅は見られなくなり、西淀川区の中島工業団地に入ってきました。
周囲を見渡すと、倉庫や工場、物流センターが建ち並び、また道路を走っている車も大型のトラックが多く、いかにも工場地帯といった雰囲気です。この中島工業団地は42万坪もの規模であるようで、阪神高速5号湾岸線中島出入口や国道43号線、名神高速豊中インターにも近いということで各企業の物流拠点として絶好の立地条件です。
工業団地内を奥へ奥へと進むに従って、リサイクル業者と鉄工所が見えてきました。地図ではこの付近のはず?と半信半疑でしたが、ほどなく取材先である杉田木材㈱さんの看板を確認してひと安心しました。
それでは、早速、今回の取材先の杉田木材㈱さんについて、まず会社の歴史から順にお話しを進めていくことにします。お話をお伺いしたのは、専務取締役の杉田知視さんです。
社屋外観 | 事務所内の様子 |
杉田木材さんの始まりは何と1872年(明治5年)ということですから驚きです。この頃の日本は、国内で最初の学校制度が定められ、また同年には、日本初の鉄道路線である新橋駅―横浜駅間が正式開業を迎えたということですから、私からはちょっと想像しにくいほどの古い話です。この年、初代の杉田兵助氏によって西淀川区佃で納材問屋を開業(薪・小丸太の販売業)したのが業歴としてのスタートとなります。明治35年には、杉田市太郎氏が杉田材木店という名称で個人商店を創業され、丸太を製材・加工し、工場に納める材料を、また梱包材として取引先に納める商いをされていました。
昭和8年には、杉田兵作氏(杉田専務の祖父)が事業継承しましたが、程なくして昭和17年、戦時中の木材統制令により一旦事業の閉鎖を余儀なくされます。昭和21年統制令の撤廃により、西淀川区佃で営業再開し、昭和23年には現社名の杉田木材㈱へ法人に改組(代表者:杉田兵作氏)されます。この頃は、電鉄会社の枕木、梱包材、また西淀川区を中心とした工場営繕用の木材の納材を主たる事業として社業が発展していった時代でした。
その後、昭和34年には杉田兵作社長の逝去により実弟の杉田義雄氏が社長に就任され、続いて、昭和40年には、現社長の杉田幸視氏が社長に就任しました。昭和40年頃は東京オリンピックが開催されるに伴って、国内の交通網の整備や競技施設が必要となり、新幹線や道路などのインフラや競技場、武道館といった競技施設が整備され国内の建築需要が高まりました。それを機に杉田木材さんも土木・建築業への納材を開始し、大手ゼネコンなどを得意先に持ち、事業は安定していました。
マンション用の造作材 |
このマンション関係の造作材は、現在でも同社の売上の大部分を占め、ほぼLVL間柱や合板、ボードの販売に特化しており、また、ホームセンターなどで取り扱っていない独自の商品を扱っていることが強みであるようです。
杉田知視専務 |
ここで、杉田専務個人についてのお話をお伺いします。
杉田木材 専務の杉田知視さんは、昭和36年兵庫県尼崎市生まれです。西宮市内の小中学校を経て、大阪市内の高校を卒業後、一旦東京の木材問屋にて勤務されます。7年間の修行の後、家業の杉田木材さんに戻られました。
平成15年に専務に就任されてからは、社業のほぼ全般を担当されています。
「仕事が趣味」という杉田専務は、「暖簾(のれん)に驕れる事なく本業に徹し、本業を極めよ」という言葉をモットーに日々、木材流通業に精励されています。永い歴史を持つ杉田木材さんを将来に亘り経営していくにあたり、社会形態も変化し、国内の木材業界の市場規模が縮小している状況にあって、「従来の木材業のやり方に胡座(あぐら)をかいて商売を行うのではなく、現在のやり方を見直して状況に応じていかに商売を変えていくかという創意工夫が必要である」という考え方で経営にあたっておられます。
倉庫内の様子 |
また、一方、木材業界も効率化と合理化等を進めるビジネスへとここ数年変化している中で、「商売の原点に戻り、人と人、心と心で会話する商いの基本を今一度見つめ直すべき」と述べられました。営業方法やサービス、付加価値は新しいものを追求しつつも、経営者としての心構えは昔ながらの木を生業とする商売人として、お客さまへの誠実な対応と地道な努力が大切だということですね。杉田専務、長時間の取材にご協力いただき、誠に有難うございました。(2012.5.18更新)
杉田木材株式会社 〒555-0041 大阪市西淀川区中島2-12-94 TEL 06-6471-0155 FAX 06-6472-2325 |